なぜ“睡眠環境”が大事なの?
「しっかり寝たはずなのに、なんだか疲れが残ってる…」
そんなとき、意外と見落としがちなのが睡眠環境です。
質の良い睡眠には「時間」だけでなく、脳や五感が安心できる環境がとても大切。
光や音、温度といった外からの刺激は、知らないうちに脳に影響を与え、睡眠の質を下げてしまうことがあります。
脳と五感が睡眠に与える影響
実は、脳は眠っている間も活動しています。
そして睡眠中も、五感を通じて外の情報を受け取り続けているのです。
脳と五感の両方を意識した睡眠環境を整えることで、睡眠の質はぐっと高まります。
🧠 睡眠に関わる主な脳の部位
- 視床下部(ししょうかぶ)
脳の深い場所にあり、睡眠と覚醒のスイッチを切り替える働きがあります。
特に「視交叉上核(しかさじょうかく)」は、体内時計(概日リズム)をコントロールしている部分です。 - 視索前野(しさくぜんや)
「GABA(ギャバ)」というリラックスを促す神経伝達物質を調整し、脳の活動をおさえてくれます。 - 脳幹(のうかん)
視床下部と連携しながら、眠りのリズムを整えたり、夢を見ているときに体が動かないように制御しています。 - 視床(ししょう)
体の感覚情報を脳へ伝える中継地点。睡眠中はここが外界の刺激をシャットアウトしています。
意識レベルの調整にもかかわる部分です。
💡 神経伝達物質と睡眠の関係
眠りと目覚めを切り替える「神経伝達物質」も、睡眠の質に深く関わっています。
物質名 | 主な働き |
---|---|
オレキシン | 覚醒を維持。オレキシンの働きを抑える薬は不眠症にも使われています。 |
ヒスタミン | 覚醒を促す。多くのアレルギー薬で眠くなるのは、この物質が抑えられるから。 |
ノルアドレナリン | 覚醒作用があり、増えすぎると眠りが浅くなったり不眠の原因に。 |
セロトニン | 幸せホルモンとして有名。睡眠と深く関わり、減ると眠れなくなることも。 |
✅ まとめ:環境が脳を左右する
- 脳は光・音・温度といった感覚刺激にとても敏感です
- 睡眠中も脳は「情報を遮断するモード」に入って、体を休ませています
- 静かで、暗くて、快適な環境を整えることで、脳のスイッチが自然にOFFになり、深い眠りにつながります
睡眠の質を下げる環境要因とは?
前の章でもお伝えしたとおり、温度・光・音・寝具の不適合は、睡眠の質に大きな影響を与える要因です。
ここからは、それぞれのポイントを具体的に見ていきましょう。
睡眠に適した“音”の環境とは?
音は、私たちの脳にダイレクトに届く刺激のひとつです。
特に眠るときには、騒がしい環境が睡眠の妨げになります。
どれくらいの音が睡眠に影響する?
以下は、日常生活で耳にする音を「騒音レベル(dB)」別にまとめた一覧です。
音の大きさ | 騒音レベル | 具体例 |
---|---|---|
🔴 とてもうるさい | 100dB | 鉄道ガード下、車のクラクション |
90dB | パチンコ屋の店内、犬の鳴き声 | |
80dB | 飛行機の機内、電車の車内、設備機器の室外機 | |
🟠 うるさい | 70dB | 幹線道路周辺、掃除機、電話の着信音 |
60dB | 博物館、換気扇、テレビ(小さめの音) | |
🟡 普通 | 50dB | オフィス、換気扇、住宅用エアコン室外機 |
🔵 静か | 40dB | 図書館、昼の戸建て住宅地 |
30dB | 夜の郊外、ささやき声 |
快眠に最適な音のレベルは?
厚生労働省などの資料によると、快眠に適した環境音は30〜40dB以下が理想とされています。
これは、図書館や夜の郊外のような静けさが、脳を安心させ、眠りに入りやすくなるということです。
音ストレスを減らすためにできること
- 寝室はできるだけ静かな場所に
幹線道路沿いや交通量の多いエリアでは、耳栓やホワイトノイズマシンの活用もおすすめです。 - スマホの通知音はOFFにする
小さな「ピコン」といった音でも脳は反応してしまうため、寝室ではマナーモード+通知オフが基本。 - 換気扇や冷暖房の音も見直しを
寝ている間つけっぱなしにする機器は、40〜50dB以下の静音設計モデルを選ぶとよいでしょう。

HSPの人や感受性の高い人は、音・光・触覚などに敏感です。
私は寝るときに耳栓を使っていますが、外の音や隣人の音をシャットアウトできて、前よりよく眠れていると感じています。
自分の耳に外的な音を入れない工夫が良質な睡眠への一歩です。
✅ まとめ:脳を静かにして、ぐっすり眠る
脳は眠っている間も、音に反応し続けています。
そのため、周囲の音が大きいと深い眠り(ノンレム睡眠)に入りにくくなり、途中で目が覚めてしまう原因になります。
静かな音環境を整えることは、快眠のための第一歩。
まずは、あなたの身のまわりにある「音」を見直してみることから始めてみましょう。
睡眠に適した“光”の環境とは?
寝る直前まで明るい照明の中にいたり、スマホを見続けていたりすると、なかなか眠れなくなることがあります。
実は「光」は、私たちの体内時計と睡眠のリズムに大きく関係しているんです。
光と体内時計の関係
体には、**朝の光でスイッチが入り、夜になると自然に眠くなるリズム(概日リズム)**があります。
このリズムは脳の「視交叉上核(しこうさじょうかく)」という場所がコントロールしています。
朝に日光を浴びると、脳は「今は朝だ」と認識し、夜になると眠気を誘うメラトニンというホルモンが分泌され始めます。
夜の強い光が眠りを妨げる理由
夜に強い光を浴びると、脳は「まだ昼間かな?」と勘違いして、メラトニンの分泌が抑えられてしまいます。
特にスマホやパソコン、テレビから出るブルーライトは、脳を覚醒させやすい光の代表です。
また、天井の照明(特にLEDの白い光)も刺激が強く、眠気を妨げてしまうことがあります。
快眠のために光環境を整えるには?
眠る前の光環境を少し変えるだけで、睡眠の質はぐっと向上します。
脳をリラックスさせるためには、「やさしい光」や「暗さの工夫」がとても効果的です。
🌙 間接照明や暖色系の電球に変える
- 明るすぎない、やわらかい光がおすすめ
- 白色のLEDよりも、オレンジ系の暖色光が◎
- おしゃれなバーのような雰囲気で、心がふっと落ち着きます
🕯 寝室の照明は1時間前には落とす or 暗くする
- ゆっくり“眠るモード”に切り替える時間をつくる
- 照明を落とすことで、眠気を誘うホルモン「メラトニン」の分泌が促進されます
- 間接照明を活用すると、緩やかに光を調整できます
🛏 遮光カーテンやアイマスクで暗さをキープ
- 外の街灯や朝日が早く差し込む環境では、遮光カーテンが強い味方
- さらに気になる方にはアイマスクの併用もおすすめです

ちなみに私は斜光カーテンと関節照明を使っています。
部屋の雰囲気も良くなるし、なによりリラックスできます。
間接照明だけでも取り入れてみてはいかがでしょうか。
とてもおすすめです😊
実際に私が使っている間接照明です。

こんな感じの雰囲気です。
明るすぎず、暗すぎず、精神的にとても落ち着きます。
読書したり、ストレッチをする自分だけのくつろぎ空間です。
✅ まとめ:光を味方にすると、眠りはもっとやさしくなる
私たちの脳や体は、光の刺激にとても敏感です。
寝る直前まで明るい場所にいたり、スマホを長く見ていたりすると、体は「まだ昼間かな?」と勘違いしてしまい、うまく眠りに入れなくなることも。
でも、逆に言えば光を少し意識するだけで、眠りやすさはぐっと変わるということ。
- 暖色系の間接照明で心を落ち着ける
- 寝る1時間前から部屋を暗めにする
- 遮光カーテンで朝までぐっすり
こうした工夫を積み重ねることで、脳と体は自然に「おやすみモード」へと切り替わっていきます。
眠れない夜が続いているなら、まずは**“光との付き合い方”を見直してみる**のもひとつの手。
眠る前のやさしい灯りが、あなたの毎日をもっと軽やかにしてくれるかもしれません。
次は、意外と見落としがちな「温度」について。
快適な温度環境は、ぐっすり眠るためのカギになるかもしれません。
快眠に適した“温度”の環境とは?
私たちは、寝ている間にコップ1杯分ほどの汗をかいています。
これは、体が眠っているあいだも体温を調整している証拠です。
でも、寝室の温度が高すぎたり、逆に寒すぎたりすると、こうした体温調節がうまく働かなくなってしまいます。
すると寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めてしまうことも。
心地よい眠りをキープするには、寝室の温度管理がとても大切です。
体温と睡眠の深い関係
人が眠りにつくときに大切なのが、深部体温(体の内側の温度)をゆるやかに下げていくことです。
深部体温がゆっくりと下がることで、脳や身体は「そろそろ眠る時間だな」と判断し、自然に睡眠モードへと切り替わります。
この**“温度の下がり方”がゆるやかであること**も大切なポイント。急激ではなく、なだらかに下がっていくことで、自然な眠気に誘われやすくなります。
ちなみに、眠くなると手がポカポカするのは、血液を手足の末端に送って熱を放出しやすくしているから。体が眠る準備をしているサインでもあります。
暑すぎても寒すぎても眠れない理由
🔥 暑すぎる場合
入眠時、体は体内の熱を放出して深部体温を下げようとします。
しかし、室温が高すぎると熱の放散が妨げられ、深部体温が下がりにくくなってしまうのです。
夏の夜に「暑くて寝つけない」「夜中に目が覚める」といった経験は、このメカニズムによるもの。
体温調節がうまくいかず、浅い眠りや中途覚醒の原因になります。
❄️ 寒すぎる場合
逆に部屋が寒すぎると、手足の血管が収縮してしまい、熱をうまく放出できなくなります。
その結果、深部体温が下がらず、寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めてしまったりします。
✅ まとめ:快眠のための“ちょうどいい”温度とは?
心地よく眠るためには、深部体温が自然に下がりやすい環境=適度な室温を保つことがとても大切です。
「暑すぎず寒すぎず」の快適な温度は、体の自然な眠りのリズムをサポートしてくれます。
快眠のための温度管理テクニック
眠りやすい環境をつくるには、室温・湿度・体の温め方など、いくつかのポイントを意識することが大切です。
- 理想の室温は18〜20℃前後
冬でも暖めすぎず、少し肌寒いくらいが深部体温を下げやすく快眠につながります。
また、厚着しすぎると体温調節がしにくくなるため、着込みすぎには注意しましょう。
- 湿度は40〜60%がベスト
乾燥しすぎると喉や肌が不快に感じたり、風邪をひきやすくなったりします。
一方で、湿度が高すぎるとムシムシして寝苦しさの原因に。
加湿器や除湿機などで、適度な湿度を保つことが大切です。
- 就寝1〜2時間前の入浴がおすすめ
ぬるめのお湯(38〜40℃)に入ることで副交感神経が優位になり、自然な眠気が促されます。
熱すぎるお湯は交感神経を刺激してしまうため、避けたほうが無難です。
- 冷え対策には、湯たんぽ・腹巻き・レッグウォーマーなどを活用
冷え性の方は、体の末端を温めることで深部体温の放出がスムーズになり、眠りやすくなります。
また、夏場でもクーラーで冷えを感じる方にはこれらのアイテムが有効です。調整しやすいものを選びましょう。

私は部屋の温度を一定に保つために、エアコンは朝までつけるようにしています。
夏であれば寝るときにタイマーはかけず、そのまま室温をキープできるようにつけっぱなしです。
電気代が気になる方もいると思いますが、電気代よりも、良質な睡眠を得ることのほうが大事だと考えています😌
自分に合った寝具を選ぼう
快適な睡眠を手に入れるには、寝具選びもとても大切なポイントです。
朝起きたときに「なんだか身体が痛い」「よく寝違える」なんてことがあれば、
もしかしたらそれは、枕やマットレスが体に合っていないサインかもしれません💡
また、使っている寝具の素材や通気性も見直すポイントのひとつ。
通気性が悪かったり、熱がこもりやすい素材を使っていると、寝苦しさや夜中の目覚めにつながることもあります。
自分の体質や寝るときの姿勢・クセに合わせて、“あなたにフィットする寝具”を選ぶことが、質の良い眠りへの近道です。
ちょっとした見直しが、眠りの快適さをグッと高めてくれるかもしれません。
🛏 自分に合った寝具の選び方ポイント
布団:軽さと保温性のバランスが大事
- 寝床内の温度は32〜34℃が理想的とされています
- 重すぎる布団は寝返りを妨げ、肩や腰に負担がかかる原因にも
→ 軽くてあたたかい素材が◎ - 冬は羽毛布団+毛布の組み合わせで、自分に合った温度に調整を
→ 電気毛布で寝床内をあらかじめ温めておくのもおすすめです
🧊 室温別・おすすめ布団の組み合わせ
室温 | おすすめの寝具例 |
---|---|
約5℃(真冬) | 羽毛掛け布団+真綿掛け布団 or 毛布 |
約10℃ | 羽毛掛け布団+綿毛布 |
約15℃ | 羽毛掛け布団のみ |
約20℃ | 合掛け布団 or 薄手の真綿掛け布団 |
25℃以上 | 綿毛布・タオルケット・肌掛け布団など涼感素材が◎ |
枕:高さと硬さは「首と肩に合うか」で選ぶ
- 枕の高さが合っていないと、首の痛み・寝違え・肩こりの原因に
- 仰向け・横向きなど、寝る姿勢に合わせた形状を選びましょう
- 枕のサイズはやや大きめがおすすめ
→ 幅が狭い枕は寝返り時に頭が落ちやすくなります - 衛生面も大事!
→ 洗える素材やカバー付きのものを選ぶと、清潔に保ちやすいです
💡 枕の高さを選ぶポイント
仰向けに寝たとき、頭が自然に5度ほど上がるくらいの高さが理想です。
あごが上がりすぎたり、引きすぎたりしていなければOK!
素材:通気性と肌ざわりをチェック
- 定番の羽毛に加えて、最近はアレルギー対応の高機能繊維の布団も人気
→ 低刺激・丸洗い可能で清潔さをキープしやすい◎ - 夏は 麻・ガーゼ素材、冬は 綿・ウール素材 が快適
- ポリエステルやウレタンなどの化学繊維は蒸れやすい傾向があるため、汗をかきやすい人は要注意
- 肌に合うかどうかも重要な選定基準
→ 他の人が大丈夫でも、自分にとってはかゆみや不快感の原因になることも
💡 布団素材選びのポイント
- 夏:吸湿・吸水性の高い素材(麻・ガーゼなど)
- 冬:保温性のある素材(羽毛・ウールなど)
- 肌ざわりを重視した選び方も◎(特に敏感肌さんは意識して)
✅ まとめ:環境を見直すだけで、眠りはもっと心地よくなる
ぐっすり眠れない夜が続くとき、つい自分の体や生活リズムばかりを責めてしまいがちですが、
実は「音・光・温度・寝具などの環境要因」が大きく関わっていることも少なくありません。
眠る前の時間をちょっと丁寧に整えてみるだけで、
体と心は自然と“おやすみモード”に切り替わっていきます。
🌙 今日から試せる快眠環境づくりリスト
- 📵 スマホ・PCを就寝1〜2時間前にオフに
→ 通知やブルーライトから離れて脳をリラックスさせる - 🕰 毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる
→ 体内時計を整えるだけで、自然と眠りやすくなる - 🧘♀️ 寝る前のストレッチや深呼吸で副交感神経を優位に
→ リラックスモードへの切り替えスイッチに - 🔇 音環境を見直す(耳栓・静音グッズ)
→ 静けさが脳を安心させ、深い眠りへ導いてくれる - 💡 照明は暖色系&間接照明にチェンジ
→ やさしい灯りが、自然な眠気を誘ってくれる - 🌡 室温は18〜22℃、湿度は40〜60%が目安
→ 湿度・冷え対策にもひと工夫を - 🛏 自分に合った寝具を選ぶ
→ 通気性、重さ、素材、季節感に合わせて快適に
眠りは、日々の体調・気分・集中力など、すべてに影響を与えます。
健康の土台といっても過言ではありません。
“眠っている時の自分を大切にする”ことが、明日の自分をより元気に、そして健やかにしてくれます。
ぜひ、できることからひとつずつ。
あなたにとって心地よい「おやすみ時間」が見つかりますように🌛
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